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12. 2.16>vol.02『A Golden Protocol』を執筆しました。
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- BMS COLUMN - |
vol.02『A Golden Protocol』
Music&Movie:sta(低級言語を労わる会)
◆あの日交わした願い
今からそう遠くない未来のおはなし。
人類の進歩は、自然の退化を促した。草木は枯れ、湖は干上がり、大気は淀む。人の住めぬ地。
残されたのは、廃墟と化した高層ビルと、かつて人が造り出したメカ「花のようなナニカ」だった。
「ナニカ」は今日も自らの種を蒔く。それは自らの意思か。それともプログラミングされた命令か。
「ナニカ」を生んだ科学者は言った。「……この地球いっぱいに、『お前』を咲かせるんだ」
それが、この荒廃した世界で、たったひとつ定められた約束。
◆メカニカル、だけどノスタルジック
『A Golden Protocol』は、sta氏が2004年に公開した作品です。
曲名や音色から感じられる、無機質で機械的な要素と共にノスタルジックな世界観を併せ持つ楽曲。
他の作品と比較しても、特に氏の作風が如実に表れている、代表作のひとつです。
◆コーヒーとミルク
何故、メカニカルな無機とノスタルジックな有機が、同時にこの楽曲から感じられるのか。
それは、音色の構成にあります。
無機を担当するのは、ノイズ交じりのシンセ。一音一音に個性的なノイズが付随しています。
一口に「ノイズ」と言っても、決してうるさ過ぎず、また汚過ぎない。実に心地良く耳に馴染むのです。
これらのノイジーな音色がアクセントとなり、楽曲に深みを与えていると言えます。
一方で有機を担当するのは、ギターやピアノを中心とした所謂「ナマ音」。
こちらは全てピュアなままの音色で、シンセに比べてイントネーションを強く出していることが特徴です。
細かな音色までベロシティー調整を行うことによって、音からは「生の息吹」を感じるのです。
無機と有機。ふたつの要素がコーヒーとミルクのように絡み合い、溶け合う。
本楽曲における「A Golden Protocol」とは、これを約束したものだったのかもしれません。
◆郷愁への誘い
BGAも楽曲と同じくsta氏によるもの。楽曲同様、映像にもノイズが多く取り入れられています。
機械を思わせる造形物をバックに、花のようなオブジェが回る。機械を動かす歯車のようにも思えます。
終盤の花びらが舞う光景は、圧巻の一言。あなたをノスタルジーの世界へ誘います。
◆ひとつひとつ噛み締めて
譜面は7K(☆5)、10K(☆4・☆7)という変わった構成。10Kがあって5Kが無いのは珍しいですね。
各譜面ごと、演奏させるフレーズや配置されているレーンが異なるため、それぞれ新鮮にプレーできます。
BPMは比較的低く、ゆったりとしたテンポなので、ひとつひとつのノーツを意識していく必要があります。
キメとなるピアノの階段は一定のリズムではないので、見切るのがやや難しいです。ノリと勢いが大切。
◆魅惑の一杯
無機と有機のコントラストは、本楽曲に留まりません。
これでもか!と言わんばかりに力強いベースラインにヴォコーダーボイスが絡む『Rocketropolis』
ディストーションギターがうなるドラマティックなデジタルロック『Deviations』
いずれも、『A Golden Protocol』に負けず劣らずの非常にハイクオリティな作品でオススメです。
あなたも一口、コーヒーとミルクが織りなす魅力的なカフェオレを味わってみませんか。
(執筆:2012年2月16日 改訂:2013年4月18日)
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