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12. 4.7>vol.04『code:Desert』を執筆しました。
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- BMS COLUMN - |
vol.04『code:Desert』
Music&Movie:Lydian(Twitter)
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◆ハードボイルドショウ
「ようこそ、いらっしゃいませ。ご注文は?」
縦横に広がる荒野の中に、ポツンと佇む寂れた酒場。カウンター席に座る男へ、店主は声をかける。
男は名の知れた存在だった。その首には桁外れの懸賞金。酒場には、数多の瞳がギラリと光る。
ピンと張り詰めた空気が周りを包む。その慣れ親しんだ感覚にニヤリと笑みを浮かべ、男は答えた。
「注文は……そうだな。……退屈のしない夜が良い」
◆クラブのためのBMS
『code:Desert』は、Lydian氏が2002年に公開した作品です。
クラブイベントで演奏するBMSを募ったイベント「LoZical Dash #02」で優勝を飾った作品でもあります。
本作は、ジャズを得意とする氏の作風が、十二分に活かされた作品と言えるでしょう。
◆聞こえてくる音色の息づかい
音色の数がそれほど多くないのにもかかわらず、楽曲の最初から最後まで多様な面を魅せる本作。
それは、音色のひとつひとつに「生気」を感じるからではないでしょうか。
スタートから鳴り響く、骨太で深みのあるベースは、地盤をしっかり固めつつも強い存在感を放ちます。
要所で脇を締める役割を務める、アタックが力強いブラスは、楽曲の「顔」とも言うべき看板役者です。
アーバンな雰囲気の、柔らかく暖かみを感じさせるエレピは、場の空気をしっとりと包み込みます。
数少ない電子的要素である、ウヨウヨと響くアシッドベースは、一味違う世界観を醸し出す演出家。
軽快にメロディが刻まれるオルガンは、グイグイと楽曲を牽引していき、疾走感を生み出します。
ジャズとしては珍しい、アフリカンなパーカッションは、思わず体を揺り動かしたくなる魅力的な存在。
これらの音色が綿密に練られ、組み合わさることで、『code:Desert』という作品は成り立っています。
全ての音色が互いに埋もれることなく、また見せ場となるポイントを随所に用意しているのです。
そこはまるで、ジャム・バンドのメンバー紹介のよう。だからこそ、音色から「生気」を感じるのでしょう。
目を閉じたときに広がる世界。それは、ジャム・バンドが熱い演奏を繰り広げるライヴ開場なのです。
◆一枚絵ながら強いインパクト
BGAはありませんが、道路交通標識を思わせる印象的な一枚絵が用意されています。
描かれているスーツ姿の男は、この楽曲の世界へと誘う案内人のようにも見えますが、果たして。
◆あなたもセッション
譜面は5K(☆6)、7K(☆7)の2つ。いずれの譜面も、様々な音色をまんべんなく演奏できる作りです。
その中でもキーポイントとなるのは、やはりブラスのフレーズがアサインされた階段譜面でしょう。
途中でスクラッチが混じる点にも注意。終盤も出てくる譜面パターンなので、完璧にこなしたいところ。
また、中盤にある同時押し+スクラッチ(オルガン+パーカッション)は、キマると爽快の一言です。
◆サンバもあるよ
BMS界では数少ない、ジャズや民族系の作品を多く輩出してきたLydian氏。
小気味良いボッサのリズムとスキャットが絡み合う『Calm Street』
アルゼンチンタンゴとデジタルの遭遇が生み出した秀作『Tragic Love』
また、仮装BMS大会にて、Lydian氏の仮装を行った作品も世に出されました。
『code:Desert』と『Tragic Love』を基にしたMixo-lydian(Pinky)氏による仮装作品『Tragic:Desert』
時には『Promise』のようなファニーサウンドや、『ナモナキリズム』のような実験的音楽も制作。
その幅広い作風には感嘆の言葉しかありません。是非、氏の世界に触れてみてください。
(執筆:2012年4月7日)
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