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12. 5.9>vol.05『slope』を執筆しました。
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- BMS COLUMN - |
vol.05『slope』
Music:com(TECHNiCA) / Movie:kazuhiro.haniuda(pixellife)
◆どこまでも、ずっと
滑る。
深く深く。
滑り続ける。
遥か奥底まで。
◆あなたの、こころへ
『slope』は、com氏が2005年に公開した作品です。
氏が公開したBMSは数少ないですが、いずれも人の心に訴えかける独特の世界観を持っています。
本作はその集大成とも言え、今なお多くの支持を集めている、BMS界を代表する作品のひとつです。
◆それは、ひとときの旅路
もはや考察・論評をすることさえ無粋に思えてしまう。
それほどまでに、胸に込み上げるものを感じる本作。この感情の礎はどこにあるのでしょうか。
答えのひとつとして、「メリハリ」があります。
まずは音色の「メリハリ」。
エレピ、マリンバ、グロッケンといったメロディ隊はスッと耳に馴染むやわらかな音色がメイン。
対するドラム、ベースなどのリズム隊はカッチリとした硬質な音色を主としたもの。
これら相対する存在が絶妙にマッチすることで、楽曲は不思議な浮遊感と清涼感を醸し出します。
更には曲構成の「メリハリ」。
イントロのエレピからはじまり、次いでドラム、パッドと、少しずつ音色が増えていきます。
注目すべきは、ベースが最後の最後にしか無いこと。クライマックスでのインサートは胸に響きます。
緩急を効かせた巧みな展開によって、心が揺り動かされ、得も言われぬ高揚感を生むのです。
まるで、大きな大きな滑り台を、はじめはゆっくりと、そして次第に加速度を増していくように。
あなたの心の中の「slope」を、滑り降りてみてはいかがですか。
◆広がるは、夢の世界
本作のBGAは、synk氏制作のものとkazuhiro.haniuda氏制作のものの2作品が公開されています。
今回は、kazuhiro.haniuda氏によるBGAを取り上げます。全編手描きによる作品です。
広がる波紋、浮かび弾けるシャボン玉、さわさわと伸びる樹……。全てが優しく描かれています。
クライマックスでこぼれおちる水の描写は、楽曲と相まって、あなたの涙腺を刺激することでしょう。
◆奏でて、浸って
譜面は7K(☆3)の1つのみ。どちらかというと、ゲーム性よりも陶酔感を重視した作りです。
演奏する音色が非常にわかりやすく、難易度が抑え目ということもあり、楽曲にしっとりと浸れます。
大半が単発かつ音符同士の間隔が広い配置なので、ひとつひとつのオブジェを意識しましょう。
「難易度を上げることだけが楽しさの追求ではない」ということを、切に教えてくれる譜面です。
◆想いよ、とどけ
com氏は、先述の通り作品数こそ少ないものの、BMS界に大きな印象を残しました。
曲名の通り流動的で透明感溢れるテクノトラック『fluid』
ブレイクの逆再生エレピが鳥肌モノ!な『ray』
音楽・Ryo Ohnuki氏、BGA・retu(kazuhiro.haniuda)氏による『ray』のリミックス作品『minus』
心に深く響く、いくつもの音楽のメッセージ。その軌跡を辿ってみるのも良いかもしれません。
(執筆:2012年5月9日)
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