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12. 11.22>vol.08『world devoid of you (fairydust radio edit)』を執筆しました。
- BMS COLUMN -
vol.08『world devoid of you (fairydust radio edit)』
VIDEO
Music&Movie:void(Mournfinale ) / Vocal:Hiroko(Sol Levante )
◆あなたのいた世界
どうして。
どうして、あなたは。
この世界から、旅立ってしまったの?
◆美しく儚く
『world devoid of you (fairydust radio edit)』は、void氏が2009年に公開した作品です。
BMSイベント「vfpq competition #01」において、総合4位・中央値2位という記録を残しています。
void氏がBMSシーンのフラッグシップとなったきっかけとも言える、メロディックトランストラックです。
◆あなたは何処にいるの
本作を語る上で、決して欠いてはならない要素。それが、ヴォーカルです。
トランスにヴォーカルが加わることで、本作には様々な効果が生まれていると言えます。
第一に、ふわりとした高揚感。
透明感のある澄み渡った歌声は、あらゆる世界へと運ぶ翼を聞く者に授けるかのようです。
第二に、胸が締め付けられるような哀愁。
美しくも力強い歌声は、真っ直ぐで情感に溢れており、心の奥深くへと語りかけます。
高揚感と哀愁。いずれもトランスにおいてなくてはならない、キモとなる要素です。
これらがヴォーカルによって引き立てられることで、楽曲全体の世界観を明確なものとしています。
屋台骨となるバックトラックも、ヴォーカルを際立たせるよう工夫が凝らされています。
特に、イントロおよびブレイクのギターフレーズは、場を包み込むような甘い響きが印象的。
また、アルペジオが多用されることで深みが生まれ、ヴォーカルが表舞台で輝けるのです。
日本語歌詞のヴォーカルと心に染みる泣きメロが描く、儚く切ない物語。
あなたにとって、大切な存在は何ですか?
◆沈黙の空から
BGAは一枚絵のみ。氏のサイトによると、制作期間の関係で用意が出来なかった、とのこと。
夕日に僅かばかり照らされた空。この空の彼方に、「あなた」はいるのでしょうか。
贅沢を言ってしまえば、楽曲の世界観を反映したドラマティックなBGAを是非見てみたいものです。
◆白い光舞い降りる
譜面は7K(☆3・7・11)の3つ。ANOTHERではドラムやピアノソロにアレンジが加わっています。
楽曲紹介でも触れましたが、アルペジオの割合が多く、メインで演奏することになります。
一番のポイントは中盤のピアノソロでしょう。16分や3連譜が織り交ぜられており、やや複雑です。
ANOTHERの最難関は、ピアノソロ後のアルペジオ乱打。密度があり時間も長いので、要集中。
◆大切なカケラ
void氏の作品は、本作を発表した2009年を皮切りに、怒涛の公開ラッシュとなりました。
「やったもん勝ち」な中盤のLNが印象的なオルタナティブトランス『Idealized Land』
迫力のあるクワイアなど、後々の作風を決定付けたリア充感あふれるトランス『Ordeal』
姉ヶ崎寧々名義、でも楽曲は硬派なサイケデリックトランス『ZENITHALIZE』
また、氏はソロアルバムもリリースしており、『world devoid of you』も収録されています。
BMSとは異なったアレンジ(というかこちらがオリジナル)なので、必聴の一曲です。
(執筆:2012年11月22日)