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13. 4.18>vol.09『Stay with me』を執筆しました。
- BMS COLUMN -
vol.09『Stay with me』
VIDEO
Music:Pinky(From Ogawan ) / Vocal:L'Ile / Movie:JunA・おーの兄妹
DATA DOWNLOAD → [> :BMS(Internet Archive) [> :BGA(Internet Archive)
◆想い焦がれて
出会いは、なんてことのない日常のヒトコマで。
いつも憧れていた。素敵な人だった。
あなたのためなら、何をするのもいとわなかった。力になりたかった。
誰かを想うことに慣れなくて、不器用で、不安で、どうすればいいのかもわからなくて。
私の気持ちを、あなたはどう考えていたの?
胸にぽっかりと空いた穴は、どうすれば埋められるの?
私はただ、そばにいて欲しかったんだ。
◆「らしさ」の詰まった集大成
『Stay with me』は、Pinky氏が2003年に公開した作品です。
BMSイベント「LiZ vs OMT」にて発表され、美しいヴォーカルも相まって人気を博しました。
氏自らも語る「集大成」の呼び声に相応しい、ハイクオリティーなダンスポップです。
◆エイティーズの輝き
本作が発表された2003年は、ちょうど80年代カルチャーのリバイバルブームが始まるころ。
「故きを温ねて新しきを知る」ではありませんが、かつての輝きが再認識され始めていました。
80年代カルチャーに影響を受けた人々が、新たなカルチャーを育んでいく時期と言えます。
さて、一聴して、得も言われぬ懐かしさをにおわせる本作。
それは他ならぬ、エイティーズの香りです。
先述のような土壌があるという中で、もはや必然的に生まれた作品とも言えるでしょう。
シンセサイザーやピアノによるバッキングは、まさに80年代のそれをリスペクトしたもの。
キラキラとした音色は、聞く者の心の奥底に眠る、80年代の眩いばかりの輝きを呼び起こします。
そこに溶け合うヴォーカルも、力強くありながらも透き通った歌声で、存在感を示しています。
楽曲のそこかしこから、80年代のエッセンスが感じ取れる本作。
その聞く者をグイグイと引き付ける力の根底には、エイティーズという偉大な先人があります。
80年代という過去と、21世紀という現在。
これらをつなぐ架け橋としての役割も担う、必聴の作品です。
◆あふれ出るバブリー感
BGAはJunA、おーの兄妹各氏による共作。楽曲同様、BGAも80年代テイストが満載の仕上がり。
可愛らしいキャラクターが、ネオンサインのようにきらめくアニメーションの中で映えます。
一種のショーを見ているかのような気分にさせる、鮮やかかつ華やかなBGAで、見ごたえ十分!
……点滅の演出が多いので、直視のしすぎにはご注意を。
◆階段・縦連・スクラッチとより取り見取り
譜面は5K(☆3・3・5)、7K(☆5・7)の5つ。いずれも練りに練られた譜面です。
演奏するパートは絞られており、どの音を鳴らしているのか非常にわかりやすいのが特徴です。
Bメロのスクラッチがやや捌きづらいですが、ポイントとなる音色なのでキッチリ決めたいところ。
5K・7KともにHARDの難関はサビの階段。テンポはそれほど速くないので、落ち着くことが大切。
◆おとなもこどもも2ちゃんねらーも?
Pinky氏はBMSには珍しいジャンルの作品を次々に発表した、時代の開拓者でもありました。
本稿の「Stay with me」につながるヴォーカルBMSにして代表作のひとつ『Shooting Star』
ハイスピードで繰り広げられるアーバンなスウィングジャズ『The Time For You - teil 2』
とんでもないセンスのBGA、でも歌詞は感動巨編なてくのぽっぷ!『YAMANOTE-LINE』
氏のサイトではBMS楽曲のほか、MP3でも様々な楽曲が公開されています。
中でも、『恋人のための小さな前奏曲』は胸に染み入る名曲。一度耳を傾けてみては。
(執筆:2013年4月18日)