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13. 5.15>vol.12『Still Alive In Love』を執筆しました。
- BMS COLUMN -
vol.12『Still Alive In Love』
VIDEO
Music&Movie:FALL(www.likeside.net ) / Vocal:yufu_sekka(音声ライブラリ「雪歌ユフ」配付所 )
◆恋してるとか好きだとか
寝るときも寝れず訪れた午前3時。少し痛む虫歯を気にもかけずに、チョコレートを頬張る。
真っ暗闇の中で流れるグルーヴ・チューブでは、クールなスパイが南へ急いでいる。
恋をしてた。夢ばかり見てた。今日もまた、意味のない言葉を繰り返す。
ほんとのことが知りたくて、星の彼方へ、そっとクイズを出した。
気がつけばすぐに夏は終わる。ピクニックには早すぎるけれど、青春はいちどだけだから。
明日は、いとこの来る日曜日。
◆ラブ・アンド・ドリームふたたび
『Still Alive In Love』は、FALL氏が2010年に公開した作品です。
超高速BMSイベント「EXTREMEBEAT」にて2位となり、話題をさらったのは記憶に新しいところ。
音声合成ソフト「UTAU」を用いた雪歌ユフによるヴォーカルも愛らしい、渋谷系ポップスです。
◆すてきなジョイライド
先述の通り、本作のジャンルは「SHIBUYA-KEI」。
簡単に説明すると、「渋谷系」は80年代後期〜90年代中期に生まれた音楽ジャンルです。
ニューウェーブやネオアコ、ラウンジなど洋楽の要素をベースとしたサウンドが特徴と言えます。
かつての邦楽と一線を画すオサレな雰囲気が絶大な人気を得て、一大ムーブメントとなりました。
そんな「渋谷系」のジャンルを冠した本作では、あらゆる面で渋谷系からの影響が見て取れます。
とりわけ、渋谷系の代表的なアーティスト「フリッパーズ・ギター」へのオマージュが色濃く現れています。
曲名の「Still Alive In Love」は、フリッパーズ・ギターの代表作「Young, Alive, in Love」から。
また、歌詞もフリッパーズ・ギター楽曲のタイトルや歌詞のフレーズを組み合わせて構成されています。
もちろん、フリッパーズ・ギターだけではなく、他の渋谷系アーティストへのオマージュも見られます。
ヴォーカルの雪歌ユフは、音声合成ながらカヒミ・カリィを思い起こさせるウィスパーボイスです。
オケはピチカート・ファイヴのようにコミカルでかわいらしく、ヴォーカルとも絶妙にマッチしています。
こうしたオマージュは、愛があるこそ成せる業。愛がなければ、歌詞の引用すらままならないはずです。
ムーブメントを生んだ先人へのリスペクトが、先述のように楽曲の端々から伝わるのがその証拠でしょう。
元祖・渋谷系の影響を多大に受け、現代に楽曲と言う形で昇華させた本作。
懐かしくも新しい、「イマの渋谷系」を表す指標となると言っても過言ではない作品です。
◆カメラ!カメラ!カメラ!
BMSと同様、BGAもFALL氏によるもの。全体的にセピアな色調でまとめられたハイセンスなBGAです。
渋谷系と言えばアートワークも特徴的でしたが、このBGAもそれを彷彿とさせるポップな仕上がり。
カメラを片手に都会へと出かけたくなります。曇った気分が気分が晴れやかになること間違いなし!
◆ワイルド・サマー/ビートでゴーゴー
譜面は7K(☆5)が1つ。昨今ではオーソドックスになりつつある、ロングノート搭載の譜面です。
なにはなくともBPMが296と超高速。まずは、自分にぴったり合ったハイスピードの値を見極めましょう。
イントロとアウトロのスキャットは、リズミカルにさばきましょう。終わり際の3連符にだけ注意。
ポイントとなるロングノートは、階段や縦連打と絡めて現れるので、押し外さないように意識するとマル。
◆全ての言葉はさよなら
FALL氏は、UTAUによるヴォーカル楽曲を多く生み出す「プロデューサー」としても知られています。
ワンツースリーでとびだせ!雪歌ユフヴォーカルの高速エレポップ『コスモワンダラー』
重音テトをフィーチャーした浮遊感たっぷりのポップス『UTSUSEMI DREAMER』
ビールへの、アツい、想い。『BEER MY FRIEND』
KLAMNOPより頒布中のアルバム『FAKE POP FREAKER』には、『Still〜』のロングバージョンを収録。
ロングになったことで、渋谷系へのより一層のリスペクト。こちらも必聴です。
(執筆:2013年5月15日)